
2011年に菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークが経営統合して誕生した三菱食品は、2025年3月13日に母体である菱食の前身、北洋商会の設立から100周年を迎えた。これを記念して立ち上がったのが『これからの100年プロジェクト』であり、社内・社外それぞれで各種の施策をスタートさせた。
プロジェクトはまず、2024年2月に準備委員会が発足。半年ほどかけて設立100周年を記念して実行する各種施策を検討してきた。施策がある程度固まったタイミングで、正式にプロジェクトが発足した。
プロジェクトについて実行委員である経営企画本部 サステナビリティグループ プランニングユニットの木邨(きむら)成希さんはこのように説明する。
「プロジェクトの目的は、100年の節目に感謝を届ける機会を創出することです。メインテーマは『感謝』とし、『One Team』『子育て支援』『地域創生』『復興支援』の4つをサブテーマに掲げます。これまでの100年に感謝しながら、次の100年においても持続可能な食のサプライチェーンがしっかり機能し続けるようにすること、新たな食の価値を今後も継続的に創造できる会社であり続けることを目指しました」
これまでの100年間を支えてくれたすべてのステークホルダーに感謝する
プロジェクトのメインテーマである「感謝」は、これまで100年間会社を支えてくれたお客様やお取引先様のほか、先人や現役社員といったすべてのステークホルダーへの感謝を意味している。会社が持続的に成長することができたのは、すべてのステークホルダーの支えがあったからであり、プロジェクトの軸に据えることにした。

サブテーマの「One Team」「子育て支援」「地域創生」「復興支援」の設定理由について、コーポレートガバナンスグループ 企業統治ユニットの稗田京華さんは次のように説明する。
「地域創生や復興支援はすでに会社として取り組んでいるものですが、子育て支援は今後更に取り組んでいきたいことであり、One Teamはこれからの100年に進んでいくために社員の心をひとつにまとめたいという想いから設定しました」
社内外で使う「チャレンジ」をテーマにしたイメージソングを制作
準備委員で施策を検討していたときは、会場を借りてイベントを実施するなど数多くのアイデアが出てきたが、サブテーマに結びつく全社員参加型の5施策を実施することにした。5施策のうち 「社員がつなぐ!動画記録に挑戦」「イメージソング制作」の2つが社員向け、「定期清掃活動の実施」「ポップアップストアの開催」「MS基金(仮称)の設立」の3つが 社会向けになる。
社員向け施策の「社員がつなぐ!動画記録に挑戦」と「イメージソング制作」に関して、動画は、社員がたすきをつなぎ続けていくものを制作予定。掛けたたすきを次の社員に渡すシーンを500名ほどつないで1本の動画にすることで、記録に挑戦する計画だ。
「4月から協力してくれる社員の募集を始め、11月までに記録達成を目指します。参加者はこれから募集しますが、営業拠点や物流拠点はもちろんのこと、グループ会社も含め、全国のさまざまな場所で働く方々に協力してもらう予定です。One Teamになって一体感をもってつくり上げていきます」(木邨さん)
イメージソングは展示会、入社式や内定式といった社内外のイベントなどで幅広く活用するもので、「チャレンジ」をテーマにした楽曲にする予定。本年7月の完成を目指して、現在、アーティストと交渉中。社員から会社や仕事に関するキーワードやエピソードを募集し、そこに込められた社員の想いなどを踏まえて、歌詞に反映してもらうことを検討中だ。事務局を務める経営企画本部 経営企画オフィスの北園優さんは次のように話す。
「社員には身近に感じてもらい、社外には三菱食品という会社を知ってもらうきっかけになってほしいと思います」
これから100年継続する構想のもと基金を立ち上げる
社会向け施策の清掃活動は、日頃からお世話になっている地域への感謝を示すと同時に、社員の環境保護意識の向上、社会貢献意識の醸成をつなげることを目的に企画された。継続的に実施することが重要との観点から、本社・支社がある各自治体の清掃プログラムに三菱食品グループの社員が参画する形をとる。活動時期が早いエリアは、3月から参加の呼び掛けを始めている。
ポップアップストアは2025年9月から11月にかけて、東京を皮切りに全国7都市を巡る。オリジナルブランドを通じて三菱食品を知ってもらい、100年の感謝とこれからの100年を伝える。
キッチンカーを活用した商品の試食、パネル展示、物販、体験型ステージイベント等、ご来場者全員にお楽しみいただけるポップアップストアを展開する予定。社員向け施策で制作されるイメージソングを流すことも検討している。
ポップアップストアは物販に重きを置かないことにした。北園さんは次のように明かす。
「社内でも議論になったのですが、より三菱食品や取り扱っているブランドを知ってもらいたいので、物販のみに重きを置くのではなく、気軽に楽しく、試飲・試食をしてもらえるようなイベントを目指しています。物販による収益獲得は考えておらず、売上は寄付することで社会に感謝を伝えます。」ステージを設けたりキッチンカーを置いたりするなど、一般的なイメージのポップアップストアよりも規模が大きくなる。実施予定会場は次の通り。
【日程・実施予定会場】
東京 | 9/12~9/14 (二子玉川ライズ) |
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広島 | 9/19~9/21 (紙屋町シャレオ) |
福岡 | 9/26~9/28 (博多駅前広場) |
名古屋 | 10/3~10/5 (JRゲートタワー) |
札幌 | 10/17~10/19(サッポロファクトリー) |
大阪 | 10/24~10/26(グランフロント大阪) |
仙台 | 11/7~11/9 (調整中) |
基金については、プロジェクトの目的と会社方針に沿う子ども支援や復興支援のほか、事業領域に関連するNPO法人などから助成先を選定する方針としており、詳細は今後検討する。
パートナー財団については公益財団法人パブリックリソース財団を選定することにした。
基金は清掃活動同様、継続して実施するもので、これからの100年ずっと続けていく構想を描いている。
会社の認知拡大を目的にイメージ動画を制作
設立100周年記念については現在、100周年サイトを開設したのをはじめ100周年プロジェクトの公式XとInstagramのアカウントも作り、社外にも適宜情報を発信している。また、社外に向けた100周年イメージ動画も制作。100周年を迎える3月13日に記念サイトで公開となり、ポップアップストアの会場でも流す予定にしている。100周年イメージ動画について、稗田さんはこのように話す。
「三菱食品がどんな会社であるかがあまり知られていないので、会社の認知拡大を目的に社外向けのイメージ動画を制作することにしました。食品メーカーから預かった商品を皆さんのところに届ける役割を伝えると同時に、100年前はどんな会社であったのかも紹介しています」
三菱食品は環境変化に対応しながら持続可能な社会を支えてきた。この役割を担ってきたからこそ、つねに必要とされ続け、100周年を迎えることができた。しかし、これからの100年もつねに必要とされ続けるための挑戦は始まったばかりである。
関連サイト

三菱食品100周年プロジェクト公式サイト

三菱食品100周年プロジェクト【インスタグラム】

三菱食品100周年プロジェクト【X:旧Twitter】

三菱食品100周年プロジェクト【YouTube】
INTERVIEWEE

左より
木邨 成希 | MASAKI KIMURA | 経営企画本部 サステナビリティグループ プランニングユニット |
稗田 京華 | KYOKA HIEDA | コーポレートガバナンスグループ 企業統治ユニット |
北園 優 | MASARU KITAZONO | 経営企画本部 経営企画オフィス |
三菱食品株式会社
東京都文京区小石川1-1-1
生活者をはじめとするすべてのステークホルダーに対して「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」をパーパスとして掲げ、国内外の加工食品、低温食品、酒類および菓子の卸売を中心に事業を展開する。