各社のトピックス

2025.02.06

三菱UFJアセットマネジメント

Mitsubishi UFJ Asset Management Co., Ltd.

快挙!“新NISA&「オルカン」投資”が「2024年ヒット商品ベスト30」第1位を受賞した理由。
「オルカンは投資家の皆さまに育てていただいた」

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「日経トレンディ」(2024年12月号)の2024年ヒット商品ベスト30において、三菱UFJアセットマネジメントが運用する『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(略称オルカン🄬)が“新NISA&「オルカン」投資”として第1位を受賞した理由とは?

三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用する『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(略称オルカン)が、「日経トレンディ」(2024年12月号)の2024年ヒット商品ベスト30において、“新NISA&「オルカン」投資”として第1位を受賞した。投信商品が年間のヒット商品ランキングに入ることは珍しい。

オルカンは、全世界の株式に投資する指数連動のインデックス型投信。2024年1月に新NISA(少額投資非課税制度)が大幅拡充されて以降、新NISAの買い付けランキングで年初から最上位で推移し、2024年末の運用残高は約5兆1,000億円。2023年末の同約1兆8,000億円と比較しても投信の世界で歴史的なヒット商品となった。
実際、8月の相場急変も乗り越え、オルカンへの資金流入は継続し、2024年の年間資金流入金額は約2兆3,549億円と業界(公募株投[除くETF])で最大となり、2023年の7,351億円に対して約3倍に増加した。なぜここまで投資家に受け入れられたのだろうか。同社カスタマー・コミュニケーション部推進戦略グループのグループマネジャーの野尻 広明氏は次のように語る。

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『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の年間資金流入金額の推移

「まず大幅に拡充された新NISAのスタートが大きかったと思います。新NISAを見据え2023年12月からオルカンは1,000億円超の資金純流入へと増え始め、2024年の年明け以降、1月には3,429億円とさらに増加が続きました。なお、新NISA2年目となる2025年1月は17日時点までで3,167億円と前年を上回るペースで流入が続いています。一方、商品の魅力としては、やはり低コストであることが挙げられます。信託報酬は年0.05775%以内と業界最低水準。また、全世界47カ国約2,700銘柄と幅広く分散投資でき、新NISAの非課税期間が無期限になり、将来が見通しづらいなかでより広範な地域に分散投資できる商品であることも人気が出た理由だと考えています」

オルカンは「eMAXIS Slim」シリーズのひとつ。ほかにもS&P500と連動した「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(スリムS&P500)も人気を博している。このシリーズ自体、業界最低水準の運営コストをめざし続けており、オルカンも過去4回程度引き下げを実施してきた。これまでeMAXIS Slimのコンセプトに則って、投資家との約束を愚直に守ってきたという信頼感も投資家をひきつけることにつながった。現在のオルカンの推計保有者数は延べ約500万人にも上る。

投資家向けにファンミーティングや
ブロガーミーティングを積極的に開催

なぜここまでオルカンがブレイクスルーできたのか。野尻氏はこう見る。
「オルカン自体、投資家の皆さまに育てていただいた側面が大きい。投資家向けにイベントなどを頻繁に開催してきました。私達のような金融のメーカーが直接、投資家向けにイベントを開くことは珍しく、ファンミーティングやブロガーミーティングなど投資家との直接対話を積極的に行ってきたことが成功要因のひとつだと考えています。もともと先行商品として、オルカンから日本株を除いたものなどが存在していましたが、投資家の皆さまからの強い要望もあり日本株を含めた商品をリリースするなど投資家の声とともに成長し、そのなかで皆さまから親しみを込めてオルカンと呼ばれるようになったことも支持が広まった要因だと思っています」

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「オルカンひろば」では初心者向けにマンガで分かりやすくオルカンを解説するなど、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に関するコンテンツを定期的に発信している

また、ファンドの狙いや考え、どんなファンドマネジャーが運用しているのか、もしくは下落のときはどうすればいいのかなど、投資家へ情報を発信することによって、要所要所でコミュニケーションをとってきたことも大きいという。

「投信は目に見えない商品です。だからこそ、信頼が大事になってきます。皆さまの目に見えるかたちで、金融の商品としての魅力を訴えてきたことも、金融商品というオススメしづらいジャンルのなかで、差別化ができたのではないかと考えています」
もともと投信の世界で投資家とのコミュケーションを積極的に行ってきたのは、知名度の高いカリスマ的なファンドマネジャーを擁する直販系の運用会社が少なくない。その点、三菱UFJアセットマネジメントのような大手運用会社が投資家向けにコミュケーションに力を入れることはそれほど多くなかった。

「当社ならではの取り組みとして、2009年の『eMAXIS』シリーズのスタート地点から、投資家に対し継続的にコンセプトや考えを発信してきました。そのように積み上げてきた下地があるなかで、インデックス投信の盛り上がりや新NISAなどさまざまな要因が重なったことで、多くの方にご支持をいただけたのだと考えています」

日本の人口の4割が投資できるよう
もっと投信を身近で気軽なものにしたい

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運用コスト引き下げの例:信託報酬率(税込)の引き下げ実績(イメージ図)(年率)

オルカン人気の要因として忘れてはならないのは、業界最低水準の低コストを実現していること。それが実現できたのは、インターネットに限定したことが大きい。これまでの投信のように実店舗での対面販売は行っていない。既存投信の前提条件にとらわれず、あくまでインターネットに限定し、目論見書や運用報告書など基本的に紙の印刷を控えることで低コストを実現させてきた。

さらに長期投資という考え方が日本の投資家に定着しつつあることも人気をあと押ししていると考えられる。現在、初心者の投資家の間ではインデックス投信が人気だが、なかにはインデックスは下落しないと勘違いしている向きもある。当然、金融商品だから損することはある。かつては市場が一気に下落へ向かうとすぐに売ってしまう投資家も多かったが、例えば、2024年8月の相場急変時は、数日で値が戻るなど投資家の間でも下落に過剰に反応する様子はあまり見られなかった。むしろ多くの投資家から聞かれたのは、「長期投資の視点で株式市場を見る」という言葉だった。野尻氏も語る。

「当社でも、長期投資の視点から無理のない投資をすることが大切だと情報発信してきました。実際、2024年8月の相場急変のときも、一部で積み立てをやめたり、売却をしたりした投資家の方もいらっしゃいましたが、オルカンでは1%以内の解約しか出ませんでした。当社では、下落はあっても過去からいうと長期で持ち続けることが重要であることなど、過去の市場のさまざまな局面を紹介したレポートをホームページに掲載したり、XやLINEで情報発信をしたりして、長期積立投資が日本にも根付くよう注力しています」

オルカンの人気に象徴されるように、これまでなかなか日本で本格化しなかった資産運用の世界が大きく変わろうとしている。今後の展開について野尻氏はこう語る。
「新NISAの口座開設数は現在、2,400万超あります。NISAはイギリスのISA(アイサ)をモデルにつくられましたが、ISAの口座数はイギリスの人口の約4割くらいの数があります。日本でも同じく人口の4割くらいまで拡大していけばと考えています。多くの人々にとって、投信がもっと身近で気軽な存在になれるようこれからも努力していきます」

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

野尻 広明  HIROAKI NOJIRI

カスタマー・コミュニケーション部推進戦略グループ
グループマネジャー

三菱UFJアセットマネジメント

東京都港区東新橋1-9-1東京汐留ビルディング
1985年8月設立。三菱UFJ国際投信から、2023年10月現社名へ変更。運用資産は投資信託:36.1兆円、投資一任・投資助言:1.5兆円(2024年3月末基準)、役職員数897名。 人気商品は「eMAXIS Slim 全世界株式」(略称:オルカン)と、S&P500連動の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(スリムS&P500)。2本の保有者数は合計で延べ1,000万人超(推計)。スリムS&P500の運用残高は2024年11月末に6兆357億円と公募投信(除くETF)としても初の6兆円台突破を記録した。

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