各社のトピックス

2024.09.05

大日本塗料

DN LIGHTING CO., LTD.

間接照明のDNライティングが
大阪・三津寺の照明演出でも技術力を示し市場拡大に意欲

各社のトピックス メインビジュアル 「マンスリーみつびし」

Toyota Technical Center Shimoyama 撮影:鈴木文人

DNライティングは2023年11月、大阪市にある七宝山大福院・三津寺の改修プロジェクトにおいて本堂の照明演出に協力した。今回の取り組みをきっかけに市場拡大に攻勢をかける同社の狙いと展望とは?


文化財の照明デザインを通じて技術力や提案力をアピール

間接照明専門メーカーのDNライティングは2023年11月、大阪市にある七宝山大福院・三津寺の改修プロジェクトにおいて本堂の照明演出に協力した。
三津寺(みつてら)は大阪ミナミの繁華街に位置し、「みってらさん」「ミナミの観音さん」という愛称で人々に愛されてきた寺院。2019年から土地建物の利活用のため全面改修に着手し、本堂を覆うかたちで地上15階のビルを建設、2023年11月に竣工した。本堂はビルの1~3階の吹き抜けとなっている部分に移築し、4階以上はホテルなどが収容される複合ビルに生まれ変わった。

今回の全面改修をきっかけに、三津寺では本堂の仏像を照らす最適な照明デザインの導入をDNライティングと検討。本堂の空間演出や照明デザインの方向性、あるいは歴史的建造物である本堂に釘やネジを使っていいかなど寺院特有の課題について協議した。同社営業本部 大阪営業所 担当課長の小林 史佳氏はそのポイントについてこう述べる。

「私達は、美術館・博物館・文化財の分野で定評のある照明デザイナーの吉野 弘恵氏に依頼し、ともに検討を重ね、演色性を高め、そもそもの文化財の色の再現性を高めることにしたのです」

文化財を美しく見せるライティングの全体最適化、とくに仏像や天井画の照明演出の最適化、壁面の白を活かした間接照明を駆使するなど細部にわたる演出を実現させることに注力した。同社にとって今回の取り組みの目的はどこにあるのか。同社営業本部 広報室長の高橋 彩氏が次のように語る。

「今回の取り組みは、文化財に限らず当社の潜在的能力を実証することで、市場拡大を目指していく狙いがあります。最近はリモート勤務で在宅時間が長くなり、照明を見直そうという流れもあり、ホテルのような空間を自宅でも再現したいと思っていらっしゃる方が増えています。今後は戸建て住宅への本格進出を目指しており、今回の文化財への照明演出の協力をきっかけに自社の提案力や技術力、カスタマイズ力を世間に示し、市場にアピールすることができればと考えています」

撮影:スタジオマップ前田誠士

十一面観世音菩薩像

愛染明王坐像

ライン照明を駆使して差別化を図る秘密

そもそも同社の主力市場は、百貨店やハイブランドショップなど商業施設分野にある。陳列棚や空間の間接照明などを始め、同社は多様な製品ラインナップを揃え、コンパクトな「納まる、溶け込む」間接照明を提供し、お客さまのニーズに応じたベストな製品を提案するカスタマイズ力で高い評価を得てきた。そこで蓄積した間接照明のノウハウや知見をもとにホテルやオフィス、病院や福祉施設などにも市場を拡げ、美術館や博物館も手がけるようになった。

興味深いのは、同社の間接照明は基本的にライン照明だけでラインナップが構成されていること。そのため、製品は形態的にはラインの長さや幅の違い、光の色温度や配光違い、または曲がるかどうかといった多くのアイテムを持つが、一般的なシーリングライトなどは手がけておらず、いわば、同社はライン照明を主力に、お客さまのさまざまなニーズに応えてきた。では、ライン照明だけで他社とどのような差別化を図っているのだろうか。同社広報室の廣田 吉美氏が説明する。

「大手メーカーにも似たような照明器具はあるのですが、1つの製品でサイズは4~5種類ほどになります。しかし当社の場合は、1つの製品でも40~70種類ほどあるのです。店舗にはさまざまな大きさの店や什器があり、大手メーカーのものではうまくフィットしない場合もあります。しかし、当社の製品ならば、設計者が思うようにデザインすることが可能です。もともと蛍光灯を作っていたメーカーでもあり、今はLEDに代わっているものの、長年蓄積されてきた灯りづくりのノウハウが大きな強みとなっているのです」

また同社は秋田県に製造拠点を持っており、全製品の約8割を製造子会社である秋田DNライティングで生産している。国内自社工場で生産することによって、安定した品質レベル、短納期対応、お客さまニーズに応じたカスタマイズ対応が可能となっている。

ショールームにはさまざまなニーズに対応したライトが陳列されている(左:東京ショールーム(品川区)、右:大阪ショールーム(吹田市)

住宅市場で
間接照明を浸透させたい

ニッチ市場で存在感を示してきた同社はコロナ禍を乗り越え、現在は外資系ホテルの建設ラッシュなどによりニーズは高水準にあり、好調な業績を維持している。こうしたなか、課題はどこにあると見ているのだろうか。

「当社の製品は多様なかたちで使用できる一方で、別電源や、それを点検するためのスペースと予算が別途必要になります。しかも要電気工事であるため、住宅市場ではなかなか浸透してきませんでした。しかし、光環境の充実が見直されるなか、『住宅照明の基本ノート』といった販促ツールを作るなど、住宅、照明メーカーや建築家だけでなく、一般の方にも働きかけ、間接照明のよさを浸透させていきたいと考えています」(小林氏)

今後、照明業界ではITツールを活用した「制御」による市場拡大が見込まれていると言う。しかし、同社は、こういった流れにも対応しつつ技術力と国内自社工場生産をベースにしたカスタマイズ力にこだわる。実際、同社は継ぎ目のない蛍光灯のシームレスラインランプでは唯一無二の存在で競合他社はいない。こうした技術力をベースに大手メーカーにさまざまな提案をしていくことで、新たなトレンドに乗るという戦略を採っている。廣田氏が言う。

「大手メーカーと競合することはしません。これからもお客さまから当社が求められているものをさらに充実させながら、引き続き製品やサービスを向上させていきたいと考えています」。

【お問い合わせ】

DNライティング株式会社・営業本部 広報室
E-mail:dnl.seminar@dnlighting.co.jp


ショールーム(東京・五反田、大阪・江坂)


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INTERVIEWEE

インタビュアー写真

小林 史佳  FUMIYOSHI KOBAYASHI

営業本部 西日本営業部
大阪営業所担当課長

インタビュアー写真

高橋 彩  AYA TAKAHASHI

営業本部 広報室長

インタビュアー写真

廣田 吉美  YOSHIMI HIROTA

営業本部 広報室

DNライティング株式会社

神奈川県平塚市宮松町15-23
三菱グループである大日本塗料の子会社。1977年に大日本塗料・平塚工場が分社独立し、ニッポ電機設立。2009年同社とダイア蛍光が合弁販社DNライティングを設立。2013年3社が経営統合し現社名に。連結従業員数398名。業務用照明の専門メーカーとして蛍光灯メーカー時代から培ったノウハウと、LEDを中心とした豊富な商品力を活かし、新たな価値を提供することを目指す。

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