拠点訪問

2025.03.27

三菱電機

愛知県・名古屋市

「三菱電機は現場が強い!」ものだけではない「価値」をつくっている
設立100周年を迎えた名古屋の製作所は多様性を重視して新たな価値を生み出す

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家庭から宇宙まで幅広い事業領域を持つ三菱電機。その屋台骨を担うFA(ファクトリーオートメーション)システム事業の拠点である名古屋製作所・産業メカトロニクス製作所は、同社初の汎用電動機の量産工場として設立され、昨年100周年を迎えた。

名古屋でのFA事業の歴史は、FA・メカトロニクス製品開発のチャレンジの歴史であるとともに、そこで積み重ねたFA制御技術、駆動制御技術、メカトロニクス技術、そして生産技術に磨きをかけながら、ものづくりのイノベーションに取り組んできた歴史でもある。
名古屋製作所の敷地面積は、約30万6,000㎡。東京ドーム6.5個分の広さを持つ。従業員数は約5,000人。関係会社を含めると約9,000人が同敷地内で働いている。設立当初から、三菱電機の「マザー工場」として全社の発展に大きな役割を果たし、FA・メカトロニクス製品のラインアップを拡充してきた。

今後同社のFA事業としては、ソフトウェア、AI、ネットワークの最新技術を活用し、計画、製造、リサイクルに至るすべての製造ライフサイクルをつなぐ「デジタルマニュファクチャリング」の実現に向け、FA-IT統合ソリューションである「e-F@ctory」を推進し、FA技術とIT技術、さらにものづくりにおけるデータの利活用で、開発・生産・保守の全般にわたるトータルコストを削減、顧客の改善活動を継続して支援していく。また、生産現場に留まらず開発や調達などサプライチェーン全体の課題解決に向けた、新しいサービス・ソリューションで顧客価値を提供していく。

周知のように名古屋はものづくりが盛んな地域であり、周囲の企業活動も活発だ。同社では地域貢献活動として、男子プロバスケットボールチーム「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」、実業団の女子バスケットボールチーム「三菱電機コアラーズ」を有しているが、もともとは従業員のクラブ活動から生まれたものだという。
三菱電機グループは2021年度より、活力とゆとりある社会の実現に向け、性別や年齢、国籍などに関係なく、ひとりひとりの多様性を尊重する取り組み(DE&I:多様性・公平性・包摂性)をより一層推進してきた。またDE&Iステートメント「Be myself, DEI & ME:ひとりひとりが自分らしくいることで私(me)と三菱電機グループ(Mitsubishi Electric)が輝く」を策定し、すべてのステークホルダーの方々に三菱電機グループのDE&Iの定義と同社としてのあるべき姿勢・行動を宣言している。変化の激しい時代において、次の100年に向けて、強く、しなやかな組織へと変革し続けていくために、今回は名古屋においてDE&Iを中心に精力的に活動しているメンバーにお話を伺った。

多様性を重視し、誰もが働きやすい職場づくりを目指す

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ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を積極的に進める三菱電機名古屋製作所・産業メカトロニクス製作所。性別、年齢、所属、雇用形態などの属性を問わず、誰もが力を発揮でき、輝けるような職場づくりを目指している。
産業メカトロニクス製作所NC製造部で工作機械に搭載される数値制御装置(CNC)の製造部次長である山本 和男さんは、キーパーツのひとつである主軸モーターの設計課長も務めている。また、全社変革プロジェクトメンバーおよびFA事業本部DE&Iチームリーダーとして、多様性を認め、双方向コミュニーションを推進する組織風土改革にも取り組む。

「お互いにコミュニケーションをとりながら、いいものをつくっていく。そのためには、いろいろな声を聞くための多様な人材が必要になります。まさに双方向でコミュニケーションがとれるような職場づくりを目指しています。昔のように、ものをつくるだけのエンジニアリングであれば上意下達が一番効率的なのですが、今は価値をつくる時代。多様な意見を集めてこそ、新しい価値が生まれると考えています。三菱電機は現場が強い。だからこそ、現場を誰もが働きやすい環境にすることが大事なのです」

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山本さんが携わるCNCは世界中の製造現場で金属や樹脂の切削加工に活用されている。すべてのスタッフの「全世界へそして未来に向けて進むお客さまにとっての最良のパートナーでありたい」という思いを実現すべく、CNCに関わるサプライチェーン、主軸モーターに関わるエンジニアリングチェーン全体のマネジメントを担っている。
「社員の皆さんが、イキイキと活力とゆとりを両立できる職場環境こそが、経営基盤であるべきです。そのために、かえる、つながる、ささえるという当社のコアバリューに基づいた各チェーンの最適化や、誰もが公平に扱われる職場環境づくりに取り組んでいます」

昨年は部門横断の工作現場力向上活動や、女性用個室数を倍増した自職場の工場トイレ全面改修などに取り組んできた山本さん。仕事のやり甲斐についてこう語る。
「新たな価値をつくるためには、多様な人材が自由に発言でき、失敗しつつも新しいことに挑戦し続けられる組織風土が必要不可欠だと考えています。会社を変革していくために、当事者として関われることに大きなやり甲斐を感じています。当社はChanges for the Betterという理念を掲げています。そこにStart With MEをつけて、私から変える、三菱電機から変えるということをモットーに会社を変革していきたいと考えています」

困っている人を助けたいという思いで始めたスマイリー活動

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サーボモータ製造部品質保証課ライン品証第三係の田村 香織さんは、ヒューマンエラーや集計業務など、工作部門とともに未然防止・再発防止に努める品質保証業務を担当している。職場では、誰もが働きやすい職場環境づくり活動「スマイリー活動」を創設。自職場が働きやすい職場となるよう日々活動している。
「ほかにも総務部変革・DE&I推進グループを兼務しており、名古屋地区全体の職場風土改革に携わっています。働きやすい職場環境を整えるために積極的に取り組んでおり、社員の皆さんが笑顔で働ける職場環境を目指し、日々努力しています」
田村さんは仕事のやり甲斐についてこう語る。

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「困っている人を助けたいという思いで始めたスマイリー活動に力を入れており、課題を解決してみんなに喜んでもらえたときは一番やり甲斐を感じます。またがんばろう、という次のエネルギーにもなります。今後もスマイリー活動を全社に広げていきたいと思っています」

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同じくサーボモータ製造部センサ工作課工作係の佐藤 佳恵さんは、作業を円滑に進められるよう、グループメンバーの配置調整と作業効率化の改善、欠員者のフォローなどを担当する。
「スマイリー活動を通して、センサ工作課(現場)の女性をはじめ、誰もが働きやすい職場環境づくりの活動を行っています。工作現場では、人間関係や一人一人の能力の違いを見極め、配置や教育を行わなければなりません。どうすれば納得して意見を受け入れてくれるのか、改善するには乗り越える壁がたくさんあります。大変な仕事ですが、喜びや感謝の声、効率的に楽しく作業をしているメンバーの姿を見ると、とてもやり甲斐を感じますね」

社会の役に立っている感覚を大事にし、働きやすい現場を実現する

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生産システム推進部e-F@ctory生産革新課IE業務推進チームの横田 隆洋さんは、現場の作業改善や作業工数測定、JIT(ジャストインタイム)活動の教育ほか、三菱電機版の業務DXのM-X(エムクロス)導入を担当。同時にスマイリー活動のマネージャー兼デザイナーも兼務している。 「スマイリー活動を通して、いろいろな人が働きやすくなるような職場環境を目指しています。工場はどうしても男性が多くなるのですが、女性や妊婦さんも働きやすいように、細かな動作改善や、足腰が弱い方をサポートする施策を立てています。実際、職場の皆さんに妊婦体験をしてもらうなど、職場の改善点を見つけるための努力を日々行っています」 現場でどんな改善ができるのか。常に考え続けている横田さん。工場が進化する一方で、ものづくりの精神を忘れないことが大事だという。

「工場は自動化、省人化に向けて進化していますが、ものづくりの精神は人間が注入していかないといい製品は生まれません。そのために誰もが取りこぼしなく元気に楽しく働けるよう問題点を洗い出して、みんなでいい方向に進めるように努めています。スマイリー活動では、社会の役に立っている感覚を大事にして、多様な属性の方々が働きやすい、そんな現場を実現することにやり甲斐を感じています。今年は世界女性デーに向けてイベントを開催するとともに、業務DXでも自分の役割の部分はしっかりと取り組んでいきたいと考えています」

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総務部人事課人事・採用チームの河村 昂軌さんは、障がい者雇用、ナショナルスタッフ受け入れ、高校生の新卒採用に携わっている。
「障がい者雇用では、採用に向けての具体的な計画を立て、適切な職務配置を検討しています。特別支援学校や人材紹介会社とも連携し、実習受け入れや面接を通じて、入社後のギャップをなくし長く働いていただけるような施策を実施しています。」
一方、ナショナルスタッフとは、アジア、欧州など同社の海外拠点で採用された現地従業員を指す。海外拠点の人事と連携し、受け入れに必要なビザや労働許可の手続きを行い、ナショナルスタッフが安心して働けるよう、労働条件や待遇についての調整に尽力している。
「また、高校生の新卒採用は、工場にとって必要不可欠です。全国の高校を訪問し、会社説明会や面接試験、配属面談を通じて会社の魅力を伝えるよう努めています」

そんな河村さんの仕事のやりがいとは何だろうか。
「ナショナルスタッフの受け入れでは、世界の拠点と係わりを持つことで、当社のスケールの大きさ、グローバル企業であることを実感します。また、障がい者採用では、2026年に法定雇用率が引き上げられることになりました。障がいのある方々を採用することによって、より安全配慮ができたり、作業書がわかりやすくなったりするなど、職場にとってもメリットが生まれることに大きなやり甲斐を感じています」。
さまざまなかたちでDE&Iが進む三菱電機名古屋製作所・産業メカトロニクス製作所。実際、所内は明るい雰囲気で、笑い声もよく聞こえる。工場はメーカーにとっての中核部門。ここから将来どんな価値や技術が生まれるのか楽しみだ。

インタビュアー写真

山本 和男
KAZUO YAMAMOTO
産業メカトロニクス製作所NC製造部

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田村 香織
KAORI TAMURA
サーボモータ製造部
品質保証課 ライン品証第三係

インタビュアー写真

佐藤 佳恵
YOSHIE SATO
サーボモータ製造部センサ工作課
工作係

インタビュアー写真

横田 隆洋
TAKAHIRO YOKOTA
生産システム推進部
e-F@ctory生産革新課
IE業務推進チーム

インタビュアー写真

河村 昂軌
GOKI KAWAMURA
総務部人事課人事・採用チーム

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