拠点訪問

2024.11.28

三菱製紙

福島県白河市・西郷村

地球の未来のために!
三菱製紙の豊かな社有林の環境を守り続ける3人のベテラン達

拠点訪問 三菱製紙 メインビジュアル

東京ドーム約10個分(47ha)もの広大な森林。約60年前に植えられた針葉樹のアカマツや、自然に生えた広葉樹などがすくすく育ち、動物や虫、魚などさまざまな生物のすみかとなっている。ここは福島県西白河郡西郷村(にしごうむら)にある三菱製紙グループの社有林だ。

そのほど近くには、2010年に開設した三菱製紙の施設「白河山荘」がある。そこを拠点に開催される「エコシステムアカデミー」では、森の恵みを有効活用して製品を生み出している会社ならではの知識・経験を生かして地元の子ども達や取引先などを中心に体験型森林環境学習を提供している。学習内容は、社有林での自然観察、植樹、育樹などのほか、室内でのクラフト体験(紙すき、紙の手提げ袋づくり、白河だるまの絵付けなど)と多彩なプログラムとなっている。例えば木の直径や高さを測り、一本の木からノート何冊分の紙が生産できるかを計算してみるプログラムでは、普段使っているノートが何十年もかけて育てた森林資源からできていることを実感できる。

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自分達で計算をしてみることで、改めてその量が実感しやすい。

毎日森の様子を観察、地域貢献への思いも強い

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社有林のなかには沢があり清らかな音を立てている。この沢ではヤマメとイワナの稚魚を確認。ここが職場なんてうらやましい!

社有林と白河山荘を守っているのは、三菱製紙 コーポレート・ガバナンス本部 総務部 エコシステムアカデミー室 室長の田村 博之さんと、三菱製紙OBの高田 雅雄さん、同じく三菱製紙OBの髙橋 基廣さんの3人。3人はエコシステムアカデミーの講師を務めるほか、動物、昆虫、水生生物、樹木、植物などのデータを収集し、社有林の生態系の調査・研究も行っている。福島県のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)に記載されている植物のうち10種がこの社有林で確認されている。

田村さんは白河市出身。室長として業務責任者としてとりまとめを行っている。

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森に3台設置してあるカメラのデータを月1回回収する。クマ、ニホンジカ、タヌキ、キツネ、イタチなどが映っているという。

「三菱製紙に入社してから、11年間は工場でバイオマスボイラーのオペレーター、その後、本社に異動して29年間営業を担当しました。システムアカデミー室には2023年に赴任したばかりですが、営業をしていたときからお客さまに当社の環境対応について説明できるように環境について学び、2010年のスタート当初からエコシステムアカデミーにも講師として関わっていました。地元白河の環境維持に貢献し続けることができてうれしいです」(田村さん)

高橋さんも白河市出身。調査・研究のサポート、および自然観察の準講師を行っている。

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輪尺で木の直径を測定。木の様子を細かく観察し、記録する。

「私は1966年に三菱製紙と合併した白河パルプ工業に入社。製品化する前段階として小型のプラントで原木の品質を把握する業務や、変圧器などに用いられる絶縁紙のプレスボード製造、品質管理などを担当してきました。エコシステムアカデミーに勤務してまだ2年。かつて原木を扱う部門にいた当時の知識を思い出しながら、高田くんにいろいろと教えてもらっています」(高橋さん)

高田さんは西郷村出身。社有林管理のアドバイザー、巡視のリーダー、自然観察の講師を務める。高田さんは、西郷村の自然環境保護に長年携わり、環境省の自然公園指導員や、福島県の森の案内人、国立那須甲子青少年自然の家の研修指導員なども務め、藍綬褒章や自然公園関係功労者環境大臣表彰を受賞した。

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子どもたちの学習の材料になりそうな葉を採集。

「私も白河パルプ工業に入社。工場のボイラーや電気、プレスボードなどを担当し、エコシステムアカデミーには立ち上げ時から参画しています。お客さまに見学いただくために、腰の高さまで伸びていた笹やぶを刈り、道を切り開きました。もっと多くの方にこの施設を知っていただきたいと思っています」(高田さん)

生物多様性を守り自然とともに生きる――三菱製紙の願い

高田さんが切り開いたという自然観察路は、今もなお見学前日と当日の朝に必ず安全確認をしている。枝が落ちてくることもあるからだ。自然を相手にすることはそうした苦労が付きものだが、3人とも「見学した方が『楽しかった』『森林の仕組みが理解できた』と、満足してお帰りいただいたときにやり甲斐を感じます」と声を合わせる。

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植樹した苗木の新芽がニホンジカに食べられていることも。「残念ですが、動物達も生きています。共存しながら森を守ることに日々努めています」(田村さん)。「ニッシー」「カッシー」はエコシステムアカデミーのイメージキャラクター。

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「三菱製紙北上工場では100%の国産チップを使用して、家庭紙をはじめとした紙製品の製造を行っています。木を育て、使い、循環的に利用していくことを目指し持続可能な森林づくりに取り組んでいます。
これからもここで提供できる林業体験を通して、三菱製紙の自然環境に対する思いをお客さまにしっかりとお伝えしていきたいと思います」(田村さん)

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三菱製紙は2001年に業界初のFSC®森林認証を取得。FSC®森林認証は、経済、環境、社会的な観点から、責任ある森林管理を審査・認証するもの。また、環境省が2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するという目標達成のために推進している「生物多様性のための 30by30 アライアンス」 にも参加。社有林は環境省によって「生物多様性の保全が図られている区域」として「自然共生サイト」に認定された。豊かな森、大切な地球資源を、これからも3人が守り続けていく。

インタビュアー写真

田村 博之
HIROYUKI TAMURA
コーポレート・ガバナンス本部 総務部 エコシステムアカデミー室

インタビュアー写真

高田 雅雄
MASAO TAKADA

インタビュアー写真

髙橋 基廣
MOTOHIRO TAKAHASHI

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