各社のトピックス

2024.06.13

三菱地所

MITSUBISHI ESTATE

本気で考え抜いたらこんなに変わった!
三菱地所の「出社したくなるオフィスづくり」

各社のトピックス メインビジュアル 「マンスリーみつびし」

国土交通省の「2023年度 テレワーク人口実態調査」によると、直近1年間にテレワークをした会社員、公務員らの割合は全国で16.1%。前年度から2.7ポイント減った。同省は「週1~4日テレワークを実施する割合が増えており、コロナ禍を経て出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが拡大傾向にある」と分析している。


こうした状況で、「コロナ前のオフィスと同じでいいのか」「出社率が変化する中、自社オフィスはどのぐらいの広さが必要なのか」「出社日を最大限生かすにはどのような空間を作ればいいのか」などオフィスのあり方に悩んでいる企業は多いようだ。

全国の主要なビジネスエリアでオフィスビルを開発、提供している三菱地所は、コロナ前の2018年に本社を移転。アフターコロナの2023年、大規模なリニューアルを行い、新たなワークプレイスのあり方を実践・提案する場として顧客や関係者向けに見学ツアーを行っている。

リニューアルのプロジェクトに携わり、働き方とワークプレイスの関係についての知見が深い、三菱地所 ビル営業一部 FMコンサルティング室 副主事の多田 光さんは次のように語る。

「テレワークが普及してどこでも仕事ができるようになった今、オフィスは“仕事をする場所”から、社員が関係性を構築し、企業文化を醸成するといった“コミュニケーションをとる場所”に変わってきています。以前のように単一的に『100人社員がいるから100席収容できるオフィスであればいい』ではなく、各企業がオフィスを使ってどのように仕事をし、どのように成長していきたいのかといった、企業としての理想像、ありたい姿を考えていただくことが、これからのオフィスづくりの最初のステップになるでしょう。それぞれの企業に合ったオフィスをつくるお手伝いをしていきたい。見学ツアーもその一環として行っています」

「ボーダレス」を実現! 三菱地所の出社したくなるオフィス

AQUARIUM

ガラス張りの会議室。外から内部が見えるが青いガラスのせいか人目は気にならない。他とは違う異空間のような雰囲気。

LODGE

軽食ブースにはアイスやパンも置いている。そばに話題の本を置き、自然と社員同士の会話が生まれるような空間。

OCEAN

アイデア発散型会議室ではさまざまなレイアウトができるデスク、イスにすることで役割の固定化を防ぎ、議論が活発に。

DriveRoom

壁は一面ホワイトボード。誰もが自由に意見を出しやすい雰囲気をつくり、対面だからこそできるアクティブな会議をサポート。

JUNGLE

コミュニケーションや会議で得られたアイデアをより深化させるため、集中度合いに応じて選べる個室やブース席も多数設置。

移転からコロナを経て、コミュニケーションをより重視

本社を現在のビルに移転する前の三菱地所は、部署ごとに壁があり、各部屋の上座に管理職、下座に若手社員が座るという、当時はよくあるオフィスだったという。年功序列の意識が強く、部署ごとの分断が生じ、業務のサイロ化等が問題となっていた。

そうした旧態依然としたワークスタイルからの脱却を決意し、移転にあたって掲げたコンセプトは「Borderless! ×Socializing!」。社員同士の心理的な境界をなくし、社員同士がフラットに交流できる空間づくりを目指した。書類の保管量を7割削減したオープンなワークスペースにはグループアドレスを導入、カフェテリアなどのコミュニケーションを促進できるスペースを増やし、社員から好評を得た。

この段階でも充分、働きやすそうなオフィスになったが、ここで終わらないのが三菱地所だ。社員へのアンケート調査を継続的に行い、2018年の移転当時は注目された靴を脱いでリラックスできる小上がりスペースは、コロナ禍を経てテレワークやフレックスタイムが浸透したことにより、ニーズが減った。そのほかにも利用率が低く有効活用されていない会議室があることが分かったという。

社会状況が変わり、働き方も変わった。その働き方に合うオフィスが必要になる。そこで、共用エリアの大幅な改修に乗り出した。

「社員から『出社したときこそディスカッションなど対面コミュニケーションの時間に充てたい』という声が多くあったことから、コミュニケーションを最大限サポートし、生産性を高められる場所を設けようと考えました。
新たに設けたディスカッション特化型会議室は、自由にレイアウトを変えられる可動式のイス、デスクを置き、立場や役割に縛られずに意見を出し合えるように工夫。社員同士の距離が縮まるなどの効果があり、利用率も以前の一般的な会議室と比べて2倍弱増加。アフターコロナのオフィスのあり方として、コミュニケーションをサポートする必要性を実体験として感じました」

そのほか、軽食ブースには貸し出しできる書棚を設置。社員の往来を促進して話題のきっかけにもなる仕掛けをつくった。グループアドレスのゾーニング対象外となるワークスペースでは、部署をまたいだ出会いや交流を誘発。コミュニケーションを促すだけでなく、そこで得たアイデアをより深化させられるよう、個室の集中ブースやウェブ会議用に特化した会議室なども拡充した。

「リニューアル後、社員から『新しい発想につながりやすくなった』『柔軟な意見、アイデアが出るようになった』『集中ブースではじっくり思考を深めることできた』『行き詰まったときに自分の部署のゾーンから出ることで、気分を変えられていい効果があった』という意見を多くもらいました」

人的資本経営に欠かせない、オフィスづくりは経営戦略の一部

今、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」に取り組む企業が増えている。いかに自社に適した人材を確保するか、離職率を下げるか。その施策のひとつとして、オフィスのあり方を見直すことも重要だ。

「フレックスタイムやテレワークなどの制度を整えるだけでなく、社員が能力を発揮しやすいオフィスも合わせて整えることで、企業の価値向上につなげることができると考えています。そのため総務だけでなく人事や経営企画も巻きこんで、オフィス戦略を考える企業が増えてきました」

とはいえオフィスを変えようと思うと大きなコストがかかる。多田さんは「その点においてはしっかりとした検討が必要」としながらも、中長期的な視点で捉えることをおすすめしている。

「当社自身、本社移転とリニューアルを経て、オフィスを整えることは“コスト”ではなく、“未来に向けた投資”と実感しました。オフィスに投資することで、多様な働き方への対応や社員のマインドの変革などさまざまな面で企業としていい方向に成長できたと思っています。オフィスを考えることは社員への還元でもあり、経営戦略の一環。次の成長への一歩を踏み出すきっかけとして、ぜひオフィスづくりを考えていただければうれしいですね。見学のご希望やご相談はぜひご連絡ください」

【お問い合わせ先】

三菱地所株式会社 ビル営業一部
☎︎ 03・3287・5310

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

多田 光  HIKARI OTA

ビル営業一部 FMコンサルティング室 副主事

三菱地所株式会社

東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビル
1937年設立。総合不動産会社の基本使命として「まちづくりを通じた社会への貢献」を掲げ、丸の内に代表されるオフィスや商業施設、ホテルや物流施設の開発・賃貸・運営管理、住宅の開発・分譲、設計監理、不動産仲介、海外事業、投資マネジメント事業などを手掛ける。オフィス事業においては、時代の変遷とともに変わりゆく人々の価値観や働き方、ニーズに応えながら国内主要都市でも展開する。

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