





三菱重工長崎造船所を見渡せるグラバー園

旧グラバー住宅
長崎市の南山手地区は旅行者にとっては長崎観光のスタート地点に当たり、長崎のシンボル稲佐山を背景に長崎湾を見下ろす眺望のよい丘のうえに位置しています。まず訪れて驚かされるのは急な坂で、グラバー園に行くには専用のエスカレーターを利用した方がいいでしょう。グラバー園辺りは、スコットランド出身の商人であるトーマス・グラバーを始めとした外国人商人が住んだ洋館が点在している場所。グラバー園からは、対岸にある三菱重工の長崎造船所を見渡すことができ、かつてのグラバーと三菱との関係に思いをはせることができます。
実際、園内にある旧三菱第2ドックハウスには、グラバーと2代目社長岩崎彌之助がともに並んでいる写真ポスターがあります。グラバーの子息である倉場富三郎が学習院へ入学する際は、岩崎彌太郎が保証人を引き受け、彌太郎死後は彌之助が引き継いでいます。


旧三菱第2ドックハウス。ここから臨む長崎の町は絶景です。
グラバー園には9棟ある伝統的建造物のうち、旧グラバー住宅、旧オルト住宅、旧リンガー住宅が国指定重要文化財に指定され、旧グラバー住宅は「明治日本の産業革命遺産」の構成資産にも登録されています。面白いことに旧リンガー住宅の真横には、なんとフリーメイソンのマークが刻まれた門柱が設置されています。長崎にはかつてロッジがあり、初代のグランドマスターに選ばれたのは長崎造船所の初代マネジャーであったスコットランド人のジョン・コルダーだといわれています。現在の門柱は大浦にあったロッジから保存・移築されたもの。ちなみにグラバーは会員だったことはないとされています。また、日本最初期といわれるアスファルト道路もあり、晩年のリンガーが坂の下から自宅まで舗装し、人力車が通れるようにしたそうです。
旧グラバー住宅はトーマス・グラバーが21歳のとき長崎へやってきて、居留地として定められた南山手に自邸を建てました。その後、子息である富三郎が受け継ぎ、長崎造船所に売却されました。終戦後はGHQに接収され、1957年に長崎造船所100周年を記念して長崎市へ寄贈されています。園内には長崎くんちに奉納される曳物、傘鉾、担ぎ物などを展示した長崎伝統工芸館など見るべきものがたくさんあります。また、園内の中心エリアにはオープンカフェ「グラバーカフェ」があり、散策に疲れたら、キリンビールで一息つくこともできます。緑に囲まれながら飲むビールは最高。ぜひ皆さんもグラバー園に訪れてみてはいかがでしょうか。

【公式HP】
グラバー園 ご利用案内