





千年くすのき プロフィール
原作:成田 誠一(なりた・せいいち)
『マンスリーみつびし』冊子時代に連載していた歴史エッセイ『千年くすのき』著者。本連載はこのコラムの漫画化。
漫画原作:星井 博文(ほしい・ひろぶみ)
漫画原作者、漫画家。『まんがでわかる 伝え方が9割』(ダイヤモンド社)など経済から歴史ものまで著書多数。「なんでもマンガにしちゃう男」
漫画作画:上川 敦志(かみかわ・あつし)
漫画家。小学館「少年サンデー」などで活躍。同社の学習まんがシリーズでも著書多数。『小学館版 学習まんが人物館 スティーブ・ジョブズ』(小学館)など。実は女性。
題字:藤田 紅子(ふじた・こうし)
書道家。毎日書道会審査会員、南不乗発会、現日会副会長、高知現日会長、安芸全国書展審査会員。安芸全国高校生書展審査員。
彌之助の夢を、小彌太が引き継ぐ。
父子二代の熱き志が結集した「静嘉堂@丸の内」

「丸の内をビジネスとアートの街に」そう願った岩崎彌之助。1892年、彌之助が駿河台邸内に創設した静嘉堂。息子の小彌太が高輪邸に移設し、父の十七回忌の1924年、世田谷区岡本に現在の静嘉堂文庫(専門図書館)を建設。小彌太没後の1946年、その遺言によって、国宝・重要文化財を含む美術品が寄付された。1992年、静嘉堂創設100周年を機に美術館を新設、2022年10月に丸の内の明治生命館へ移転。
この流れを読むだけで、彌之助、小彌太親子の高い志とそれを引き継ぐ熱量が感じられて、とても好きなストーリーです。2025年の年明け、静嘉堂文庫美術館へ行ってきました。

静嘉堂文庫美術館(愛称「静嘉堂@丸の内」)は明治生命館の一階にあります。1934年、昭和9年竣工、古典主義様式の最高傑作といわれ、昭和期の建築物としては初めて国の重要文化財に指定された名建築。
美術館のエントランスも重厚な洋館といった佇まいです。

大理石の柱ひとつとっても、明治生命館という歴史的建造物である洋館の中にあることがひしひしと感じられます。

静嘉堂@丸の内といえばなんといってもこのホワイエでしょう。入ってすぐこのホワイエがあり、それを囲むように4つの展示室がある、美術館としては非常に珍しい設計です。ちょうど「平安文学、いとをかし」展が開催されていたので国宝の俵屋宗達筆「源氏物語関屋澪標図屏風」のレプリカが飾ってありました。

大理石を多用した重厚な建築の天井はなんと吹き抜け。自然光が差し込む美しい天井を思わず見上げずにはいられません。二層になった吹き抜けの空間は往時を彷彿させてくれます。

ホワイエには腰掛けられるソファがたくさん置かれており、展覧会だけでなく静嘉堂@丸の内の建物そのものを思う存分、鑑賞することができるようになっています。明治生命館の中に移転した静嘉堂の歴史やストーリーを感じてほしいですね。

安心してください、ちゃんと解説もあります。ホワイエに入ってすぐ右手に、美術館の歴史や愛称が「静嘉堂@丸の内」であることまで書かれています。その横には二つの胸像が。

向かって右側が彌之助(岩崎二代目社長)、左側が小彌太(岩崎四代目社長)です。親子の夢が叶ったこの場所に二人並んでいることにちょっと感動しますね・・・。

開催中だった平安文学展、それは素晴らしいコレクションでした。展覧会の内容は「三菱のアート」をご覧いただければと思います。
*現在は終了しています
https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/monthly/m_art/2024/11/1.html

静嘉堂@丸の内に来たら、展覧会のテーマにかかわらず、あの大人気の国宝、「曜変天目」をぜひ見たいですよね。ミュージアムショップに立ち寄り、「ほぼ実寸の曜変天目のぬいぐるみ」を見て手に取るまでがセットです!こちら一日の販売数が限定されているほどの大人気商品。曜変天目という茶器をぬいぐるみにしよう、その発想がもう尊いです・・・。展示されている本物は撮影禁止なので、思う存分手に取って堪能できるミュージアムグッズです。
この記事が公開される1月末からは「豊原国周生誕190年 歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵初公開!」展が開催されています。「曜変天目」の出品は今回お休みだそうですが、大河ドラマ「べらぼう」でも話題の江戸の華、歌舞伎と浮世絵をたっぷり鑑賞できる楽しい展覧会です。そちらの記事はこちらもまた「三菱のアート」でお読みいただければと思います。
https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/monthly/m_art/2025/01/1.html