
ローソンのデリバリーサービスが好調だ。コンビニ商品をご自宅までお届けするラストワンマイルの取り組みとして、2019年8月から日本のコンビニエンスストアで初めて「Uber Eats」を導入。現在は「Wolt」「menu」「出前館(クイックマート)」からも注文ができる。24時間いつでも、最短15分でお届けできるというこのサービス。戦略立案からプロモーション、商品企画などを担当するインキュベーションカンパニー クイックコマース部の山口 達也氏に、好調の秘訣と今後の取り組みについて聞いた。
まるでコンビニが自宅内に!? 病気のときも便利
ローソンのデリバリー導入店舗数は2024年7月末時点で約7,000店舗。「からあげクン」などの店内調理のフライドフーズ、即食性のある米飯類やデザート、飲料・酒類の注文が多く、一部店舗ではOTC医薬品(処方せん無しで購入できる医薬品)の取り扱いや、「ゴーストレストラン」(デリバリープラットフォーム上にローソンとは別のブランド名で出店をしているもの)の展開も行っている。
山口氏は、ローソンのデリバリーが選ばれている理由について次のように説明する。
「フードのほかに日用品などさまざまなものを取り扱っているという、コンビニエンスストアとしての強みに加え、看板商品である『からあげクン』や『マチカフェ』をはじめとするブランド力、商品への安心感が高いご支持をいただいている理由です」

メインプラットフォームとなっているUber
Eatsでは若年層の男性の利用が多く、利用シーンとしては病気やけがのときや、仕事やゲームなどの趣味に熱中して食事の準備ができないとき、家族や仲間で集まったときが多いという。
「地域によっては2リットルボトルのミネラルウォーターなど大容量の商品が注文されるケースも多く、若年層だけでなく高齢者の方やエレベーターのない集合住宅のご家庭で『すぐに自宅まで届けてもらえるので助かる』とのお声を頂くこともあります。まだこのサービスをご存知ない方や、ご存知だけれども使ったことない方がいらっしゃるので、この便利さを広くお伝えできれば、もっとこのサービスは発展していくと思います」
在庫管理が自動になり、ユーザーも店舗も便利に

2024年4月からは、Uber
Eatsアプリと店頭在庫有無の自動連携機能がスタートした。これまでは店舗スタッフが商品の店頭での在庫有無を確認し、専用タブレットを使って手作業でアプリへの反映を行っており、反映の遅れや漏れなどが発生して、ご注文どおり商品が届けられないという事象が発生していた。また、店舗によっては在庫確認でオペレーションに負荷がかかっていたという。
「自動連携機能では、在庫有無のデータが自動的にアプリに反映されるので、商品お届けの精度が向上しました。また、店舗での在庫確認の作業時間は9割も軽減。加盟店オーナーさまからは『作業時間がほとんどかからず、非常に助かる』と感謝のお言葉をいただいています。この負荷がなくなったことをきっかけに『デリバリーを導入したい』というオーナーさまも多くなり、導入店舗が増加しています」
店頭商品のすべての在庫を目視確認することが難しいこともあり、自動連携機能のスタート前までは、デリバリーでの取り扱い商品を売れ筋などの700〜1,000アイテムとしていた。自動連携機能がスタートしたことによって、店内のほとんどの商品となる3,000以上のアイテムへ拡大が可能になった。8月からは「取り扱ってほしい」というリクエストの多かった「無印良品」の取り扱いも開始している。

1万4,000店が在庫拠点、パーティーシーズンにも大活躍
7月には「デリバリーを使ってもらうきっかけになれば」と、デリバリー専用に開発した「からあげクンレッド3倍味 BOX(15個入り)」をUber Eatsで先行発売。9月からすべてのプラットフォームで発売している。ローソンがデリバリー専用商品を開発・発売するのは今回が初めてだ。

デリバリー専用商品「からあげクンレッド3倍味 BOX(15個入り)」
「とても好評をいただき、売り上げの実績が高いだけでなく、大きなプロモーション効果を得ることができました。今後もデリバリー専用、またはデリバリー先行商品を開発していきたいと考えています。開発にあたっては、すでに店頭にあるものを組み合わせてデリバリー専用で販売するケースと、今回のようにまったく新しい商品を開発するケースの両軸で進めていく予定です」
デリバリーにより力を入れていくという姿勢が見てとれるが、実際、ローソンは2024年から2025年の目標としてデリバリー事業の強化を掲げている。
「現在ある約1万4,000もの店舗が在庫拠点になるからこそ、最短15分で商品を届けられます。この価値はほかにはなかなかないと思いますし、店内調理ができる厨房設備も約9,000店が持っていますので、小売でありながらレストランのような役割も果たすことができます。こうしたローソンの持つ力を最大限に活用しながら、お客さまにとってより便利な存在を目指していきたいと思っています」
クリスマスや年末、お正月と、家族や仲間と“宅飲み”する機会が増えるこのシーズン。デリバリーの需要も高まることを見込み、『黄金チキン
骨つき』のボックスやケーキの取り扱いも検討している。アルコールドリンクにソフトドリンク、メインディッシュにおつまみ、さらにはスイーツやコーヒーも、ティッシュも注文できるローソンのデリバリー。パーティーに大いに活用したい。
INTERVIEWEE

山口 達也 TATSUYA YAMAGUCHI
インキュベーションカンパニー クイックコマース部
株式会社ローソン
東京都品川区大崎1-11-2
1975年設立。大阪府豊中市に1号店をオープンし、現在は国内外に約22,000店舗を展開するコンビニエンスストア。「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」をグループ理念に掲げ、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」を約束し、誰もが「ほっ」とできる「マチのほっとステーション」の実現を目指す。