
体の芯まで冷える冬。寒さで強張った体をほぐす特効薬は、やはりお風呂に勝るものはない。お気に入りの入浴剤を入れた湯船で手足をゆっくりと伸ばし、1日の疲れを癒す。内側からぽかぽかと温まれば、明日へのパワーも湧いてくる。とはいえ、自宅の風呂から絶景が望めるわけもない…。
そこで提案したいのが、“雪見風呂”を目的にした旅のプランニングだ。アルパインリゾートで山々を眺めながら、老舗ホテルで雲海を見ながら、北国でかまくらを楽しみながら…。各地の個性を生かした多彩な雪見風呂が楽しめるのも日本ならでは。きっと、忘れえぬ思い出になるに違いない。
【長野県】標高3,000m級の北アルプスの山々を望む
『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新』
北海道・ニセコを筆頭に、極上のパウダースノーを求めて来日する外国人が増える冬。長野県・白馬もまた、彼らの間では最高のスノーリゾートとしてよく知られている。そんな白馬の中心街、エコーランドに、2024年12月に『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新』がオープン。早くも国内外から注目を集めている。

客室はすべて角部屋でマウンテンビュー。キッチンや洗濯乾燥機を備え、長期滞在も可能なコンドミニアムタイプで、家族や仲間と過ごすのにぴったり。

さらに1階には長野県産を中心にセレクトされた1,000本以上の日本ワインを所蔵する『ラ ヴィーニュ ダイニング フウド』も併設。信州サーモンや新鮮な野菜、ジビエを使用した本格的なフレンチや鉄板焼きの料理をコースでもアラカルトでも楽しめるというから、使い勝手抜群。

でも何よりテンションが上がるのは、各フロアに3室のみというビューバスの存在だ。アロマ調香デザイナー、齋藤 智子氏が白馬の地で実際に感じた印象を元に作ったというオリジナルのバスアメニティの香りに包まれてのバスタイムはまさに至福の時。心身がほぐれていくのを実感できる。

ホテル1階にはスキーやスノーボード用具が保管できるロッカールームが完備され、外から直接アクセスできるのも便利。
進化し続けるマウンテンリゾートの新鋭として、ブックマークしておきたい1軒だ。
『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新』
〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村大字北城字新田3020-1116
☎︎ 0261・85・5166
総客室数:38室
スーペリアツイン1室3名利用時1名あたり4万880円(税サ込み)〜※スノーシーズン期間
【新潟県】肌にやさしい源泉掛け流し天然温泉に癒される
『赤倉観光ホテル』
1937年の開業以来、国内外のセレブリティたちが数多く訪れている『赤倉観光ホテル』。日本の高原リゾートホテルの草分け的な存在として知られる老舗だが、80年以上を経てなお進化を続け、今もその魅力は色褪せない。
特に日本百名山のひとつである妙高山の中腹という立地は唯一無二。ゲストルームはもちろん、ロビーや露天風呂、大浴場からも四季折々の景色を楽しむことができる。

冬の醍醐味はもちろん、風呂から望む一面に広がる白銀の世界だ。特に「SPA&SUITE」内にある男女温泉大浴場からの眺望は圧巻。
空、山、街までが白一色に染まった絶景を遮るものは一つもなく、開放感たっぷりのパノラマを楽しむことができる。

2016年に新築されたプレミアム棟には、テラスと客室露天風呂がついた部屋もあり、眺望を独り占めすることも可能だ。
ちなみに、妙高山の中腹より自然噴出している天然温泉の源泉温度は51度。ホテル専用の温泉管で引湯する間に、ちょうどいい湯加減になっているという。
また、泉質は、硫酸塩泉・炭酸水素塩泉の2つ成分をあわせ持ち、湯冷めしにくく、切り傷や美肌に特に効能があるとか。

気象条件が整えば、早朝は雲海に出合えるチャンスもあり。日中はホテル直結の『赤倉観光リゾートスキー場』のビッグゲレンデでスノーアクティビティを楽しむこともできる。

赤絨毯にクラシカルな調度品が目を惹くロビー、温もりあふれる暖炉、そして地元の食材を生かした本格フレンチ。
大倉財閥が『上高地帝国ホテル』、『川奈ホテル』に続けて建てたという日本屈指のマウンテンリゾートホテルは、一生に一度は訪れたい歴史あるリゾートだ。
『赤倉観光ホテル』
〒949-2102 新潟県妙高市田切216
☎︎ 0255・87・2501
総客室数:69室
本館ツインルーム1室2名利用時5万7,300円(朝食付き、税サ込み)〜
【青森県】津軽の四季と伝統工芸を愛でるかまくら露天風呂
『界 津軽』
古くから湯治場として知られる津軽の奥座敷に佇む温泉旅館『界 津軽』。ここの露天風呂は外の水庭に面し、かまくらのようなアーチ型の屋根がついているのが特徴で、春は桜、秋は紅葉、夏はねぷたの灯籠が水庭に浮かぶ様子を見ることができる。

冬の大鰐町は、例年11月下旬ごろに初雪があり、厳冬期の積雪は1メートルを超える。そのため、露天風呂からは、まるで本物のかまくらの中に入っているような気分で、しんしんと降る雪を眺めながら雪見風呂を満喫できる。

今シーズンは、露天風呂から眺める水庭の対岸に、津軽の伝統工芸品であるこぎん刺しの模様をあしらった小さな灯篭を入れた「こぎんかまくら」を配し、雪景色全体を明るく演出。

また、水庭には、津軽七雪の模様を模した灯篭を浮かべ、より幻想的な雰囲気を盛り上げている。とろみのある大鰐温泉に浸かり、非日常世界に身を委ねれば、体の芯までぽかぽか温まるのはあっという間。

津軽地方出身の文豪・太宰治は、紀行文『津軽』の中で、津軽に降る雪を7つの種類に分けて表現。そんな時期によって種類や降雪量が変わり、様々な表情を見せる雪景色は一生の思い出に残るに違いない。
『界 津軽』
〒038-0211 青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
☎︎ 050・3134・8092(界 予約センター)
総客室数:40室
ツインルーム2名1室利用時1名あたり1泊2万8,000円(2食つき、税サ込み)〜
※「こぎんかまくら」は2025年2月28日まで
構成・文/一寸木芳枝