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通常は非公開の「第四号牛舎」耐震対策工事見学会 開催!

-三菱ゆかりの地便り 岩手・小岩井農場#3-

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第四号牛舎

明治に建てられ現在も使われている小岩井農場・第四号牛舎の耐震対策工事見学会が10月19日、これらの建造物を管理する(公財)小岩井農場財団の主催で行われました。

第四号牛舎は1908(明治41)年に建てられた木造二階建ての建造物です。現在も搾乳用に使われ、65頭の乳牛が飼育されていますが、117年の歴史を持つ第四号牛舎は老朽化が進んでおり、この8月より耐震対策工事が始まっています(参考)。

講演の様子

今回の見学会は「近代化遺産の日(10月20日)」記念事業の「全国一斉公開」に併せて行われ、会場には悪天候の中26名が参加しました。会の前半では、国指定重要文化財「小岩井農場施設」の保存活用検討委員も務める、東京家政学院大学の大橋竜太教授が講演を行いました。

「『小岩井農場施設』は明治に建てられた建造物が今も多く残っており、現在も使われている(リビングヘリテージである)ことが大変珍しく、農場独自のコミュニティを感じ取れる建造物が群となっている点で文化的価値が非常に高い。さらに建造物を建てる際に東京の業者が設計をし、地元の業者が施工をして建てるということは、今では当たり前だが、当時では大変珍しいタッグである」(大橋氏)

三角形によって堅固な構造を確保するトラス架構の小屋組

続いて、第四号牛舎のレクチャーを受けたのちに実際の工事現場まで足を運び、二階のトラス構造を見たり、建築当時構造物の木材に書かれた墨書きなど当時の痕跡を探したりしました。小屋組の大空間を洋式のトラス架構で組み上げるのは、日本近代建築史でも価値が高く当時の建築技術としては先進的とされています。

紀元前から使われている日本の伝統工具のひとつ「釿」(ちょうな)

また、耐震対策工事の施工を担当している宮大工が釿斫り(ちょうなはつり)※の技術を実演し、参加者は目を輝かせて見入っていました。

参加された方からは「普段は入れない牛舎の二階にあがって実際に見ることが出来て大変勉強になった」「宮大工の実演が面白かった」「耐震対策を行い、永遠に牛舎を継続しようとする努力に感銘しました」といった声があり、貴重な「リビングヘリテージ」を学ぶ有意義な一日となったようでした。


※ちょうなはつり:石器時代からある伝統工具「ちょうな」で木をはつる(表面加工)こと。削り後を敢えて残すことで、木の表面に独特の味わいが生まれる。

※2024年10月30日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。