
専門医とともに3年間研究を重ねた『かんたんブレインチェック』
2025年には認知症高齢者の数が約700万人(高齢者の5人に1人)になると予想され、その予防と早期発見が急務となっている。2023年12月からは、軽度認知障害(MCI)および軽症認知症の新薬であるレカネマブが販売開始し、保険適用の対象となった。MCI段階で発見できれば、回復や進行予防が期待できるとされている。
明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田)では、健康寿命を延伸するという社会課題を解決するため「みんなの健活プロジェクト」を進めている。その一環として、明治安田の生命保険商品「認知症ケア」「いまから認知症保険」の被保険者向けに、自身の認知機能低下への気づきを提供する『かんたんブレインチェック』を2020年2月から展開。2023年10月、特許を取得した。
『かんたんブレインチェック』は「単語を覚える」「順になぞる」などの6つの問題を出題し、その回答から認知機能の状態を3段階で評価。ゲーム形式で手軽に認知機能の状態をチェックできる点に好評を得ている。
企画開発に携わったサービス開発部 サービス開発グループ スタッフの長崎 千恵さんは次のように語る。
「『かんたんブレインチェック』は、2017年度から3年間、研究を重ねて開発したアプリ。認知症・MCIと診断された患者と健常者、計150名の被験者にご協力いただき、アプリの識別精度を検証しました。問題の正答率だけでなく回答までの時間を計測するなど、本来は精神科医が多面的にチェックする認知機能が、6つの問題に回答いただくことで評価できるという点が認められ、アルツハイマー病協会国際会議2019でも学会発表されました。」(長崎さん)

長崎さんは営業現場でのキャリアが長いことから、アプリのリリース後も営業職員から直接声を聞いてアップデートの参考にするなど経験を大いに活かしているという。
細かな工夫を凝らし、日常的に健康づくり『健康献立 by 味の素(株)』
明治安田では、契約者だけでなく誰でも利用可能な『MYほけんアプリ』も2021年からリリースしている。そのなかには、毎日の歩数を記録し履歴をグラフで管理する「歩数管理」、寝る前にアラームを設定するだけで睡眠状態を計測する「睡眠管理」、スマートフォンで写真を撮るだけで体のサイズや姿勢を測定する「体型管理」といった機能があり、ユーザーの健康をサポートしている。
2023年11月にはそこに新たな食事管理機能『健康献立 by
味の素(株)』をリリースした。年齢や体型の情報と、減塩、減糖、減脂、低カロリーなど気になる健康課題、使用したい食材を選択すると、約1万種類の主菜や副菜等のレシピを組み合わせて献立を提案する。
サービス開発部 サービス開発グループ 主任スタッフの米田
紗織さんは、これらヘルスケアのアプリに明治安田が進出し始めた当初から、企画・開発に参加している。業務と並行して美術大学に通いデザインを勉強。その知見をアプリのUIにも活かした。

「MYほけんアプリに着手した当初、当社にはアプリ開発のノウハウやヘルスケアの専門知識がほとんどなく、さまざまな企業と協業しながら手探りでアプリを作り上げてきました。今回の『健康献立
by
味の素(株)』も他社のAPIを、当社の『MYほけんアプリ』と連携させてサービスを展開しています。開発の過程で、献立検索から結果表示まで時間が長いという課題に直面。時間の短縮を試みましたが、技術的に難しいことが分かり、お客さまに違和感を与えないよう知恵を絞るなかで、商品キャラクター『うさりん』がフライパンを振るアニメーションと、ランダムで料理のひとくちコラムを表示させる工夫をしました。技術的な課題をアイデアで解決できたことは大変いい勉強になりました」(米田さん)
ユーザーからは「レシピ単品ではなく、主菜、副菜、汁物など献立のセットで提案してくれるので、合計したカロリーや塩分量が分かるところがいい」「残りの食材などから検索できて便利」と好評だ。
アプリの健康データの蓄積を顧客へのサービスに還元していきたい
アプリ開発の統括をしている、サービス開発部 サービス開発グループ グループマネジャーの太田 靖伸さんは、次のように語る。
「『健活プロジェクト』における当社ならではの強みは営業職員。こうしたアプリも、開発してご提供するだけでなく、お使いいただきながら営業職員が伴走できるというところが、一番の強みとなっています」(太田さん)
事実、アプリは契約者とのコミュニケーションツールにもなっていると、営業職員からも好評を得ている。
「『かんたんブレインチェック』も、営業職員が定期的な契約内容のご確認のタイミングでいっしょに試してみることで、認知症予防について働きかけることができています」(長崎さん)
今後も保険会社ならではの強みを活かしたアプリを検討していきたいと意欲的だ。
「お客さまにアプリをお使いいただくことで健康に関するデータが当社内に蓄積され統計化されています。それらを活かしてお客さまの健康により役立つアドバイスやサービスなどのアウトプットをご提供できないかと検討しています」(太田さん)
「お客さまがどのような病気になったかなどの長期的な情報を分析できることも保険会社の強み。こうした保険会社ならではのデータと、アプリに蓄積されていく健康に関する日々のデータとを掛け合わせることで、他業種にはないモデルをつくっていけると考えています」(米田さん)
従来の生命保険会社としての役割を超え、健康寿命の延伸と地方創生の推進に向けた新たな役割を努める決意として、2024年1月からブランド通称を「明治安田生命」から「明治安田」に改称。生命保険会社としての基盤を活かしながら、生命保険の垣根を超えた新たな分野にチャレンジし続けている。
「MYほけんアプリ」は、ご加入者以外の方でもご利用いただけます
是非ダウンロードして食事管理機能をお試しください!
INTERVIEWEE

太田 靖伸 YASUNOBU OTA
サービス開発部 サービス開発グループ グループマネジャー

米田 紗織 SAORI YONEDA
サービス開発部 サービス開発グループ 主任スタッフ

長崎 千恵 CHIE NAGASAKI
サービス開発部 サービス開発グループ スタッフ
明治安田生命保険相互会社
東京都千代田区丸の内2-1-1
1881年の創業以来、相互扶助の精神のもと、生命保険事業のパイオニアとして、お客さまと地域社会を支え、地域社会の発展を応援し相互扶助の輪を広げることを通じ、持続可能で希望に満ちた豊かな社会づくりに貢献する。