みにきて! みつびし

みにきて! みつびし

三菱商事が支援する、フルーツ王国・福島のワイナリー

ふくしま逢瀬ワイナリー

施設DATA

  • ショールーム・ギャラリー
  • 工場等見学

トピックス:

  • 2025年4月より、ふくしま逢瀬ワイナリーはISホールディングス社に継承されました。

訪問記を読む

こんにちは! 事務局のカラットです。東日本大震災から早7年。未曾有の大災害は私たちに様々な試練をつきつけ、その中からの復興は大きな命題となっています。今回は三菱商事が東北・福島の復興をめざして地元農家の方々と共に運営に取り組んでいる「ふくしま逢瀬(おうせ)ワイナリー」におじゃましてきました!

JR郡山駅で新幹線を降り、車で30分ほど走れば次第に周囲に緑が増えてきます。磐梯山を臨む自然豊かな逢瀬町に、ふくしま逢瀬ワイナリーはあります。まずはこのワイナリーと三菱商事の関わりについてご紹介しましょう。

三菱商事では震災直後から自治体への寄付、大学生への奨学金、NPOなどへの助成金給付に加え、被災地での社員のボランティア活動を盛んに行なってきました。ボランティア活動は10~20名が1チームとなり3泊4日間滞在して活動し、そのチームが帰る頃にまた次のチームが被災地入り、という数珠つなぎでの支援が2011年の秋ごろまで続けられ、現在も週末を利用したボランティア活動が行われており、のべ約4700人以上の社員の方が参加しているそうです。

左右に長~い外観。写真左側から果実が運び込まれ、中央部の加工エリアでリキュールやワインが生産されていく。右端がショップ。
左右に長~い外観。写真左側から果実が運び込まれ、中央部の加工エリアでリキュールやワインが生産されていく。右端がショップ。

こうした活動と並行し、2012年には(公財)三菱商事復興支援財団が設立されました。地域の復興のためには人が戻りそこに仕事があることが重要であるとの考えから、奨学金、NPOへの給付に加え、産業復興・雇用創出を活動の柱として、岩手・宮城・福島の三県で事業者や起業家への支援を展開しています。

ゆるやかに、でも着実に復興が進んでいくなか、被災地の中でも大きな障壁を抱えていたのが、原発事故の影響を受けた福島県でした。そこで同財団では、福島で何かできないだろうかと考えます。どんな支援が求められるか、地元の方へのヒアリングの中で浮かび上がってきたのが、「自分たちが作ったものを加工・販売する手伝いをしてもらえたらありがたい」という農家の方々の声でした。

ショップコーナーに並ぶ飲食品や工芸品。いずれも三菱商事復興支援財団の支援を受けて活動している事業者の生産品。
ショップコーナーに並ぶ飲食品や工芸品。いずれも三菱商事復興支援財団の支援を受けて活動している事業者の生産品。

福島県といえばフルーツ王国。桃・梨・リンゴの生産量はいずれも全国5位内に入ります。そこで、福島で生産された果物をそのまま地元でお酒に加工して販売する産業の創生と支援を目指し、2015年、ふくしま逢瀬ワイナリーが誕生しました。三菱商事復興支援財団が運営をし、一般社団法人 ふくしま醸造所に醸造を委託するというかたちで支援をし、生産・加工・販売を一体化して地元ブランドの付加価値を高め、地域経済の活性化を促進していこうというプロジェクト、それこそがこのワイナリーなのです。

生産者の想いと支援への熱意が詰まったお酒

ふくしま逢瀬ワイナリーは横に長い建屋が特長です。正面向かって左側に農家の方が収穫した果実を運び入れると、加工して果汁を絞り、隣の部屋に並ぶ26基のタンクで発酵させます。そしてあるものはさらに隣の部屋で蒸留してブランデーや果汁を加えてリキュールに、あるものはタンクや別室の樽で貯蔵してワインになり、ビン詰めされて商品となる、という構造です。建物の右端にはワインショップが併設されており、農家の方の手から届いた果実が最終形態になるまでが、この建物の中で実感できます。

加工部を内側からガラス越しに見学できる。一番奥から果実が届け入れられ、手前のタンクで発酵させる。
加工部を内側からガラス越しに見学できる。一番奥から果実が届け入れられ、手前のタンクで発酵させる。

現在、逢瀬ワイナリーで製造・販売されているのは福島県産のリンゴ「ふじ」を100%使用したシードル。そして、同じくリンゴ「ふじ」を使ったリキュール、桃「あかつき」のリキュール、梨「幸水」と「豊水」のリキュールの3種。飲ませていただいたところ、シードルはさっぱりとした果実味を感じる味わい。リンゴのリキュールはシナモンの風味も加わった大人の味、桃のリキュールはまろやかな甘さ、そして意外と珍しい梨のリキュールは度数高めに作られており、お酒好きな方も楽しめるフルーツリキュールと、それぞれに違うテイストで、どなたもお好みの味を見つけられそうです。

逢瀬ワイナリーにある蒸留器は果実の味や香りを残しながらアルコール度数の高いブランデーを作れるという特徴があるのだそうで、そのため福島自慢のフルーツたちの風味と、飲みごたえのあるお酒らしさを同時に味わえるのですね。ショップでは1杯500円から試飲が可能なのも、逢瀬ワイナリー訪問のお楽しみです。

隣接するワイン用ブドウの試験栽培場。福島でどんなワインが作れるかの実証がこれからここで始まる。
隣接するワイン用ブドウの試験栽培場。福島でどんなワインが作れるかの実証がこれからここで始まる。

ではワインは?というと、ワイン用ブドウの農家というのはフルーツ王国・福島でも多くはありませんでした。そこで三菱商事復興支援財団では郡山市の協力の下、ワイン用ブドウの植栽について育成事業を開始、ワインの産地づくりを目指しています。逢瀬ワイナリーの隣接地にもブドウの試験栽培地が整備されており、これから福島でどんなブドウが育ち、どんなワインができるのかも注目です。

ショップで試飲できるシードル。広々とした中庭の芝生を眺めながら優雅に一杯が楽しめる
ショップで試飲できるシードル。広々とした中庭の芝生を眺めながら優雅に一杯が楽しめる

なおワイン用のブドウというのは苗を植えてから実がなるまでに3年かかるのだそうで、2015年の事業開始からちょうど今年が3年目。つまり今年は逢瀬ワイナリー初の赤・白ワインが誕生する年なんです! 今年の秋から冬頃の発売を目標にしているそうなので、これは見逃せませんね。

逢瀬ワイナリーのショップではこれらの醸造酒に加え、三菱商事復興支援財団が支援する各種事業者などによる福島県産の品々も販売されています。名産のフルーツを使ったジャムやジュース、サングリアの素といった飲食品のほか、会津木綿を使用したコースターなどが並び、見ているだけで楽しいだけでなく、福島県の産業の豊かさにも触れることができます。

一杯とともに暑い日にはたまらない、隠れた目玉商品(?)の「かき苺」。これを食べにやってくる方もいるほど。
一杯とともに暑い日にはたまらない、隠れた目玉商品(?)の「かき苺」。これを食べにやってくる方もいるほど。

そして実はもうひとつ、逢瀬ワイナリーには期間限定の「食べるお楽しみ」が。それが、かき氷ならぬ「かき苺」! 凍らせた苺をかき氷状にし、練乳をかけて味わう冷たいスイーツです。花びらを散らしたような可愛らしい姿と最後の一口まで楽しめる甘酸っぱい美味しさはお子さんも大喜びすること請け合いです。(販売期間は12月まで)

様々な発見と感動の詰まったふくしま逢瀬ワイナリー。ここで作られているお酒の美味しさは、福島県が誇る果実があってこそのもの。農家の方々の福島への、未来への想い、そしてそれを支援したいという三菱商事復興支援財団の熱意を至る所に感じました。逢瀬ワイナリーの商品は東京・日本橋の福島物産館「MIDETTE」やネットショップでも購入可能ですが、できればぜひ足を運んで、復興へ歩み続ける福島の方々のパワーを体感されることをお勧めします!



注:本文中の情報等はいずれも2018年8月現在のものです。

※2025年4月より、ふくしま逢瀬ワイナリーはISホールディングス社に継承されました。

タグを選択すると同じカテゴリの他の施設が探せます。