みにきて! みつびし

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ゆかりの地に建つ三菱の殿堂

三菱史料館

施設DATA

  • ウェブサイト:三菱史料館
  • 所在地:東京都文京区湯島4-10-14
  • 開館時間:午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
  • 休館日:土日祝日、年末年始(12月28日~1月5日)など
  • 展示室の見学:無料、予約は不要。ただし、15名以上の集団見学の際は、事前に連絡。
  • お問い合わせ:03-5802-8673 / siryokan@meri.or.jp
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こんにちは! 事務局のカラットです。来る2020年、三菱グループは創業150周年を迎えます。1870年、大阪に九十九(つくも)商会が設立されたことに端を発する三菱。とはいえ三菱グループの皆さんの中にも、三菱の歴史については正直知らないことも多い…という方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、貴重な資料とともに三菱の歴史を見て学べる、三菱史料館へ行ってまいりました!

東京都文京区の故岩崎彦彌太氏邸跡に建つ三菱経済研究所。三菱の殿堂ともいえる。
東京都文京区の故岩崎彦彌太氏邸跡に建つ三菱経済研究所。三菱の殿堂ともいえる。

三菱史料館は、学問の神様・菅原道真を祀る湯島天満宮や、森鴎外の「雁」に出てくる無縁坂など、学問・文芸の趣漂う東京都文京区湯島にあります。元々、創業者岩崎彌太郎とその長男岩崎久彌の二代にわたって住んでいた三菱ゆかりの地。その本邸に隣接する、岩崎彦彌太(久彌の長男)の邸宅跡に建つのが、三菱史料館を擁する「公益財団法人 三菱経済研究所」です。

三菱経済研究所のルーツは、1922年、三菱合資会社に三菱四代社長・小彌太が設置した資料課にあります。社内組織ながら、ここでは広く内外の経済関係の文献・資料を収集・整理して、調査・研究成果の公刊もおこなっていました。そのため社外からも資料の利用を希望する声が多く、これに応えるかたちで1932年に資料課を分離し、三菱経済研究所が誕生したわけです。まさに三菱のDNAである三綱領のひとつ、「所期奉公」に示される社会貢献の精神と言えるのではないでしょうか。

その後1970年に(株)三菱総合研究所が設立されると、経済研究所が担っていた官庁や企業からの委託業務はそちらへ移管され、同研究所は内外経済の調査・基礎研究に専念することになります。そして三菱創業125周年の記念事業として1996年に併設されたのが、三菱史料館です。その目的は創業以来の三菱に関する史料の収集・保存。三菱の歴史と未来を見続けている場所なのですね。

興りから現在まで、貴重な史料とともに三菱を知る

開放的なロビー。研修等に使われる会議室や応接室は、彦彌太邸の食堂・応接室を復元したもので、会議室の扉や机、椅子などの調度品は当時のものをそのまま使用している。
開放的なロビー。研修等に使われる会議室や応接室は、彦彌太邸の食堂・応接室を復元したもので、会議室の扉や机、椅子などの調度品は当時のものをそのまま使用している。

三菱史料館には、三菱創業から戦後の三菱本社解体、新しい三菱グループの発足にいたるまでの経営資料や業務文書が集められています。こうした史料は三菱の歴史というだけでなく、日本の産業発展の歴史の資料でもあるため、研究者を中心に公開されて研究に役立てられています。三菱グループに勤めていると「内側」からの視点に集中しがちですが、「外側」からも産業発展や企業経営といった観点から、三菱の歴史が研究されているんだなということに、今更ながら思い至りました。

展示室入り口に設置された岩崎彌太郎坐像。背後には「三綱領」と「おかめの面」の展示も見える。
展示室入り口に設置された岩崎彌太郎坐像。背後には「三綱領」と「おかめの面」の展示も見える。

まず目に入るのは正面に配置された「おかめの面」と「三綱領」。「おかめの面」とは、武士意識が強く笑顔で接客できない社員に対し、商人らしく温和な顔付きで接客するよう促すために彌太郎が店頭に掲げたというもの。「面」といっても普通のお面のサイズより大きいものですが、ここにあるのはそれでも縮小版。実際にはもっともっと大きな面が掲げられていたのだそうです(実物は三菱東京UFJ銀行で保管)。そして三菱グループに勤める人なら一度は見たことのある、四代社長・小彌太が揮毫(きごう)した「三綱領」。こちらも複製ながら堂々とした筆跡に、この言葉に込められた想いが伝わってくるようです。

彌太郎直筆「水到渠成」(すいとうきょせい)の書。彌太郎は漢詩への造詣も深く、「東山」の雅号も持っていた。
彌太郎直筆「水到渠成」(すいとうきょせい)の書。彌太郎は漢詩への造詣も深く、「東山」の雅号も持っていた。

展示品の内容は多岐にわたり、彌太郎直筆の「水到渠成」の書、台湾出兵後、政府から海運助成を受けることとなった「第一命令書」、四代社長のみならず三菱を支えた人々に関する資料(トマス・グラバーに支払われた給与の金額を記載したものも!)…、ひとつ資料を見るごとに、三菱と、日本、そして世界の歴史を感じました。

史料館を訪問されると、各時代の出来事や関連する史料、わかりやすい解説を見ることもできますので、ぜひ史料館へ足を運んでみてください! 毎年様々なテーマに沿った企画展も行われており、「新人の頃に行ったきりだな…」という方も、この機会にお出かけになってはいかがでしょう?

「そんな簡単に行っていいの?」と思われたかもしれませんが、史料館の展示室は無料で一般公開されており、予約も不要です。また、会社単位での研修も歓迎しますとのこと。実際、新入社員研修や中途採用研修などをこちらで行われているグループ企業は多いのですが、「当社でも実施したい」と思われた研修担当の方は、ぜひ史料館までお問い合わせください。

創業者の岩崎彌太郎以降、「三菱」はどんな人々がどのような思いで育んできた名前だったのかを、史料館で感じてみてはいかがでしょうか。


注:本文中の情報等はいずれも2017年5月現在のものです。

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